フルリモートワークを始めて3年になるが、地方移住者ならではの盲点として、在宅環境への投資が「会社支給ではなく完全に自己負担」になるという現実がある。この現実に気づいたのは、実際に働き始めてからしばらく経ってからだった。東京でオフィス勤務をしていた頃は、椅子もモニターも会社が用意してくれるのが当たり前だった。今回は、金沢に移住してから実際に在宅環境に投資した金額と、その費用対効果を数字で検証する。
地方移住×フルリモートで見えた「自己負担」の壁
地方に移住してフルリモートで働き始めて最初に驚いたのは、椅子1つ、モニター1台にしても会社が用意してくれないという当たり前の事実だった。加えて、地方在住だと家電量販店で実機を試せる店舗が限られるため、購入は通販中心にならざるを得ない。実際、最初に購入したチェアはサイズが合わず、1万円近い返送料を負担して交換する羽目になった。都市部であれば実店舗で試座できたはずのコストだと考えると、地方移住ならではの見えないコストだと感じている。
実際に揃えたもの:合計19.6万円の内訳
3年かけて段階的に揃えた在宅環境への投資は、合計19.6万円になった。内訳は次の通り。
在宅環境投資19.6万円の内訳
- チェア(エルゴヒューマン プロ)8.8万円(44.9%)
- 昇降デスク(FlexiSpot E7)4.2万円(21.4%)
- モニター(LG 27インチ4K)3.0万円(15.3%)
- キーボード(HHKB Professional HYBRID Type-S)3.6万円(18.4%)
- チェア(エルゴヒューマン プロ):88,000円(44.9%)
- 昇降デスク(FlexiSpot E7):42,000円(21.4%)
- モニター(LG 27インチ4K):30,000円(15.3%)
- キーボード(HHKB Professional HYBRID Type-S):36,000円(18.4%)
金額の大きさで言えばチェアが突出しているが、これは意図的な配分だ。1日8時間以上座る前提であれば、真っ先に予算を割くべきはデスクよりチェアだというのが、3年間試行錯誤した末の結論になる。
コワーキングスペースの併用でオンオフを切り替える
在宅環境をどれだけ整えても、毎日100%自宅で完結させるのは難しい。自分の場合、週2回ほど地元のコワーキングスペースを利用しており、月会費は11,000円ほどかかっている。金沢駅周辺のコワーキングスペースは東京と比べて席数に余裕があり、予約なしでも座れることが多い。これは地方移住ならではのメリットだと感じている。
投資の効果測定:体感と数字の両方で見る
在宅環境への投資19.6万円に対して、体感的に一番効果が大きかったのはチェアだった。以前使っていた1万円台の椅子から乗り換えた直後、夕方の肩こりと集中力低下がはっきり減ったのを覚えている。定量的な計測は難しいが、1日の実質作業時間が体感で30分〜1時間ほど伸びた感覚がある。仮に時給換算した場合、この投資は数ヶ月で回収できている計算になる。
アイテムごとの効果を個別に振り返る
チェア(エルゴヒューマン プロ、8.8万円)は、投資額の中で最も大きな比重を占めるが、効果も最大だった。以前使っていた1万円台のオフィスチェアは、長時間座ると腰と肩に負担が蓄積していく感覚があったが、乗り換え後は夕方でも姿勢の崩れが少なく、集中力の持続時間が明らかに変わった。価格差は8倍近いが、体感的な効果はそれ以上だと感じている。
昇降デスク(FlexiSpot E7、4.2万円)は、座り仕事と立ち仕事を1日の中で切り替えられる点が大きい。オンライン会議が続く時間帯は立って作業することで眠気を防げるようになり、地味だが集中力の波をコントロールする上で役立っている。モニター(LG 27インチ4K、3.0万円)は作業効率というより、目の疲労軽減という観点での投資だった。フルリモートで画面を見る時間が長い分、解像度の高いモニターへの投資は長期的な健康面でも意味があると考えている。
キーボード(HHKB Professional HYBRID Type-S、3.6万円)は、数字上の効果測定は難しいが、日常的なタイピングのストレスが減ったことで、地味に文章作成の心理的ハードルが下がった実感がある。ブログ執筆という新しい作業が増えた今、この投資は間接的にブログ運営にも良い影響を与えていると感じている。
よくある質問
Q. 在宅環境への投資は本当に必要?
A. 必須ではないが、フルリモートで働く時間が長いほど投資対効果は大きくなる。自分の場合、合計19.6万円の投資で、肩こりや集中力低下による作業効率のロスが目に見えて減った。
Q. 一番効果を感じた投資は?
A. 個人的には昇降デスク(4.2万円)よりもチェア(8.8万円)の効果が大きかった。1日8時間以上座る前提なら、まずチェアに予算を割くのがおすすめ。
Q. コワーキングスペースは併用している?
A. 週2回ほど地元のコワーキングスペースを利用しており、月会費は1.1万円ほど。自宅とは別に「オンとオフを切り替える場所」として使っている。
今後追加投資を検討しているもの
現状の在宅環境にはおおむね満足しているが、今後さらに追加投資を検討している項目もある。3年間使ってみて初めて見えてきた改善点でもある。1つはウェブカメラだ。オンライン会議の頻度が増える中、内蔵カメラの画質では相手に与える印象面で見劣りすると感じる場面があり、外付けの高画質カメラへの切り替えを検討している。もう1つは、照明環境の見直しだ。冬場は日照時間が短くなるため、作業スペースの照明を昼白色の高演色LEDに変更することで、体感的な集中力の維持につながるのではないかと考えている。
一方で、これ以上の大きな投資(例えば複数モニター化やハイスペックPCへの買い替え等)は、今のところ優先度を下げている。現状の環境で作業効率に大きな不満がない以上、追加投資はあくまで限界的な改善にとどまる可能性が高く、資産形成を優先する観点からは慎重に判断したい。
費用対効果をどう考えるか
在宅環境投資19.6万円という金額を、単なる支出として見るか、投資として見るかで評価は変わる。数字だけを見れば小さくない金額だが、働き方全体への影響を踏まえると見え方が変わってくる。会社員として働き続ける前提であれば、この投資はあくまで自己負担の経費に過ぎない。しかし、フルリモートワークという働き方自体が、地方移住による生活コスト削減・可処分時間の増加という大きなリターンを生んでいることを踏まえると、この19.6万円はその働き方を支える基盤への投資だったと捉えている。
今後もフルリモートワークを継続する前提であれば、椅子やデスクといった耐久性の高いアイテムは数年単位で使い続けられるため、投資額を使用期間で割った実質コストは今後さらに下がっていく見込みだ。単発の支出ではなく、複数年で回収する投資として捉えることが、在宅環境への投資判断において重要な視点だと考えている。