Side FIREを目指すうえで、収入を増やすことと同じくらい重要なのが支出設計だ。今回は、移住を機に見直した固定費の内訳、実際にどこまで削れたのか、そして生活防衛資金やSide FIRE後の支出設計まで、数字ベースで書いておく。
最大の固定費削減は「移住」そのものだった
固定費は「住居費」「通信・サブスク費」「保険・その他」の3つに分けて見直したが、結論から言うと、固定費見直し全体の8割以上のインパクトは住居費、つまり移住そのものによるものだった。東京時代の家賃20万円から、金沢の8万円まで下がり、その差額は月12万円。他の細かい節約をすべて積み上げても、この12万円には及ばない。移住前後の家賃相場の詳細な比較は、別記事で物件選びのポイントとあわせてまとめている。
通信・サブスク費の見直し(補助的な取り組み)
- 使っていない動画・音楽系サブスクを3つ解約(合計2,400円/月)
- スマホ回線を大手キャリア(8,000円/月)から格安SIM(2,980円/月)に変更
- 固定回線は在宅ワークの安定性を優先し、あえて据え置き(月5,000円)
住居費と比べればインパクトは小さいが、すべてを削るのではなく「仕事のパフォーマンスに直結するもの」は残す判断をした。何でも削れば良いというわけではなく、優先順位をつけることが重要だと考えている。固定回線を削って通信が不安定になれば、仕事の裁量やブログ運営に影響が出る。支出削減は目的ではなく、あくまで裁量を増やすための手段だと捉えている。
保険の見直し
保険は、独身時代に加入したまま放置していた医療保険・生命保険を棚卸しし、必要な保障だけに絞った。結果として、月々の保険料は12,000円から6,000円まで、ちょうど半分になった。過剰な保障は、資産形成のスピードを落とす固定費になりやすいというのが実感だ。
Side FIREに必要な生活防衛資金の考え方
固定費を下げることと同じくらい重要だと考えているのが、生活防衛資金の設計だ。Side FIREは完全なリタイアと違い、就労収入がゼロになるわけではないが、それでも収入が変動するリスクは通常の会社員より高くなる。自分の場合、月間生活費30万円を基準に、生活防衛資金として6ヶ月〜1年分(180万〜360万円)を、投資に回さない現金・預金として確保するようにしている。
この生活防衛資金の水準は、固定費が下がったことで大きく変わった点でもある。東京時代の生活費水準(月43万円)を基準にすると同じ期間分でも必要額はかなり大きくなるが、金沢移住後の月30万円という水準であれば、より少ない現金で同じ期間分の防衛資金を確保できる。固定費削減は、単に貯蓄ペースを上げるだけでなく、「いざという時に必要な現金の絶対額」自体を下げる効果もあると気づいたのは、移住後の発見の一つだった。
生活防衛資金の置き場所についても、普通預金だけでなく、一部は個人向け国債や定期預金に分散している。インデックス投資の資産とは明確に別枠として管理し、暴落局面でも生活防衛資金には手をつけない、というルールを徹底することで、投資資産を短期の事情で取り崩さずに済む設計にしている。
Side FIRE後の月間支出をどう設計するか
現在の月間生活費30万円という水準は、そのままSide FIRE後の支出設計のベースラインとして考えている。内訳は住居費が8万円前後、食費が7万円前後、残りが通信費・保険料・雑費・子育て関連費用等だ。Side FIREでは、就労収入と資産収入を組み合わせて生活費をまかなう設計になるため、「最低限これだけあれば生活が回る」という金額を明確にしておくことが、働き方を柔軟に選べる余地を作る前提条件になる。
仮に資産収入だけで生活費の半分(15万円程度)をまかなえる状態を作れれば、就労収入は残りの15万円をカバーできればよいことになり、働き方の選択肢は大きく広がる。現時点ではまだそこまでの資産収入は確保できていないが、固定費を下げたことで「まかなうべき金額」自体が小さくなったことは、Side FIRE達成の距離を縮める上で大きな意味を持っている。
支出を可視化するために使っているツール
固定費の見直しと並行して、家計簿アプリで支出をカテゴリ別に自動集計するようにした。感覚ではなく数字で見ることで、「なんとなく節約している気になっていたが、実は大きな支出が別のところにあった」という発見が何度かあった。支出設計は一度整えて終わりではなく、月次で見直す仕組みを作ることが重要だと感じている。
また、固定費の見直しと並行して、変動費側にも簡単なルールを設けた。例えば外食は週1回まで、衝動買いは24時間置いてから判断する、といった小さなルールだが、積み重ねると年間では無視できない金額になる。
こうした小さな仕組み化の積み重ねが、意志力に頼らず支出をコントロールする上で効果的だと感じている。ただし繰り返しになるが、最も効いたのは移住による住居費12万円の削減であり、細かい節約はあくまで補助的な位置づけだと捉えている。
次回は、仕事の面から見た地方移住、リモートワークの仕事の見つけ方について書く。
固定費削減で意識している「削らないもの」
固定費見直しの過程で、逆に「削らない」と決めたものもいくつかある。1つは子育て関連の支出で、子どもの成長に関わる部分は、家計全体の削減対象から明確に外している。もう1つは、仕事のパフォーマンスに直結する在宅環境への投資だ。通信回線や作業環境については、固定費という枠組みでは削減対象にせず、むしろ移住で浮いた住居費の一部を積極的に再投資する対象として位置づけている。この在宅環境への投資の詳細は、別記事で費用対効果も含めてまとめている。
支出を「削るもの」と「あえて残す・増やすもの」に分けて考えるようになったのは、固定費削減を始めてしばらく経ってからだ。最初は何でも一律に削ろうとしていたが、それでは長続きしないし、仕事や子育ての質を落としてまで達成するFIREには意味がないと感じるようになった。
今後さらに見直す余地がある項目
現時点でまだ手をつけていない固定費として、車両費(保険・車検・ガソリン代等)がある。金沢は車がなくても生活が成立する街だが、雪国という土地柄もあり車を1台保持している。使用頻度自体は東京時代よりかなり低くなっているため、カーシェアやレンタカーへの切り替えでさらに固定費を圧縮できる可能性はあると考えているが、雪道での移動の安心感とのトレードオフもあり、まだ結論は出していない。
固定費の見直しは一度で完了するものではなく、生活スタイルの変化に合わせて定期的に見直す必要があると感じている。今後もこのブログで、見直しのタイミングごとに数字ベースで記録していきたい。特に子どもの成長にあわせて発生する新しい支出項目については、都度冷静に固定費・変動費どちらに位置づけるかを判断していく必要があると考えている。