2026年7月に入り、AI・半導体関連株を中心に世界的な株価の調整局面が続いている。ナスダック100は月間ベースで下落し、日経平均も高値圏から反落する場面があった。こういうニュースを見るたびに、Xのタイムラインでは「今が買い時か」「一度利確すべきか」という声が飛び交う。自分はこの3年間、そのどちらの判断もしていない。今回は、暴落・急落局面で実際に何をしていて、何をしていないのか、金額と判断基準を具体的に書いておく。
半導体株急落のニュースを見て、証券口座を開かなかった話
直近では、AI投資の収益化への懐疑から半導体株が大きく売られ、月間でナスダック100が下落する場面があった。日経平均も、高値圏から一日で1,000円を超えて下げる日があった。こうしたニュースをXで見かけた日、自分は証券口座のアプリを開かなかった。開かなかった理由は単純で、開いたところで「積立額を変える」という選択肢を自分に許していないからだ。見て何もしないくらいなら、最初から見ないほうが精神的に楽だと気づいたのは、移住してから2年目くらいのことだった。
東京にいた頃は、むしろ経済ニュースをリアルタイムで追いかけることが仕事の一部でもあった。地方に移住してフルリモートになってからも情報収集の習慣自体は変わっていないが、「情報を知ること」と「証券口座の評価額を確認すること」を意識的に分けるようになったのは、この3年間で身についた一番大きな変化かもしれない。
積立を止めないと決めている理由
- 積立投資の前提は「時間を味方につけること」であり、下落局面で止めると前提そのものが崩れる
- 下落局面は同じ金額でより多くの口数を買える「セール」だと機械的に捉えるようにしている
- FIRE目標6,000万円までの距離感は長期の話であり、数週間・数ヶ月単位の値動きに意味を持たせすぎない
自分の資産配分は、S&P500連動インデックスが50%、NASDAQ100連動インデックスが30%、新興国株インデックスが20%というポートフォリオだ。この配分と積立方針の詳しい経緯は別記事にまとめているが、この配分を組んだ時点で「下落局面でも積立を止めない」というルールもセットで決めていた。ルールを事前に決めておくことが、実際に急落が起きたときに感情で判断しない一番の防御策になっている。
実際に何をしているか(していないか)
やっていることは驚くほど少ない。楽天証券のつみたて投資枠で毎月の積立額を自動設定し、給与振込のタイミングで自動的に買い付けられるようにしているだけだ。下落局面が来ても、この設定を変更する操作は一切していない。SBI証券のサブ口座での新興国株積立も同様に自動化しており、証券口座を横断した具体的な使い分けは別記事で書いている。
逆にやっていないことを挙げると、下落局面での「押し目買い」の追加投資はしていない。追加で買い増すこと自体は否定しないが、自分の場合は「相場を見て判断する」という行為そのものを積立投資から排除したいので、あえて追加投資というオプションを持たないようにしている。同様に、下落局面での一部売却・利確も一切していない。買うタイミングも売るタイミングも、自分の判断を介在させないという一点にこだわっている。
唯一手を動かすのは、半年に1回のリバランスのタイミングだけだ。S&P500・NASDAQ100・新興国株の比率が当初の50:30:20から大きくずれていた場合に、新規積立の配分だけを調整する。保有分を売却して比率を戻すことはせず、あくまで新規の積立配分で徐々に戻していく方法を取っている。
下落率と、自分の積立額を並べてみる
直近1ヶ月のナスダック100は月間で下落、S&P500も月間でマイナス圏に沈む場面があった一方、ダウ平均はプラス圏を維持するなど、指数間の値動きにばらつきが出ている局面だった。こうした「どの指数がどれだけ動いたか」という情報と、自分の毎月の積立額を並べてみると、下落率の大きさに対して自分の生活が受ける影響がいかに小さいかが可視化できる。
指数は数%単位で毎月上下するが、自分の積立額は常に0%、つまり一切変動していない。この「変動しない項目を1つ持っておく」ことが、相場に振り回されない生活を作る上でかなり効いていると感じている。世帯資産5,800万円台のうち、インデックス投資が資産の中核を占めている以上、評価額そのものは指数に連動して動くが、「積み立てる行動」は自分の意思でコントロールできる数少ない変数だ。動かせない評価額に一喜一憂するより、動かせる行動のほうに意識を向けるようにしている。
地方移住者だからこそ意識していること
金沢に移住してから3年、証券会社の窓口や対面相談に気軽に行ける環境ではなくなった。東京にいた頃は、気になればふらっと相談窓口に立ち寄ることもできたが、地方在住だとそのハードルは物理的に上がる。この制約は一見デメリットに見えるが、実際にはインデックス積立中心の運用と相性が良かったと感じている。そもそも頻繁な相談や相場観のすり合わせが必要な運用スタイルではないため、対面窓口へのアクセスの悪さが不利に働く場面がほとんどない。
むしろ地方移住によって固定費が下がり、月々の積立に回せる余力が増えたことのほうが、資産形成へのインパクトは大きい。東京時代の家賃20万円から金沢の8万円まで下がった差額12万円の一部は、そのままインデックス投資の積立原資に回している。この固定費削減の詳細は別記事で内訳を含めてまとめている。暴落局面での「積立を止めない」という判断も、家計に余裕があるからこそ淡々と実行できている面は正直にある。
フルリモートで働きながら金沢で暮らしていると、東京にいた頃より経済ニュースとの距離感が変わったことにも気づいた。オフィスで同僚と相場の話をする機会がなくなった分、情報はXやニュースアプリから能動的に取りに行く必要がある一方、周囲の空気に流されて衝動的な売買判断をするリスクは減ったように感じている。
それでも不安になる瞬間はある
ここまで淡々とした運用方針を書いてきたが、正直に言うと不安になる瞬間がまったくないわけではない。特に、資産評価額が月次で数十万円単位で目減りする月は、家計簿アプリを開いた瞬間に一瞬手が止まる。子どもの成長とともに、今後は教育費など新しい支出項目も増えていく見込みの中で、「このまま積立を続けて本当に大丈夫か」という不安がよぎることもある。
そういうときに立ち返るのは、生活防衛資金と投資資産を明確に分けているという事実だ。生活防衛資金は月間生活費30万円の6ヶ月〜1年分を現金・預金で確保しており、暴落局面でもこの防衛資金には一切手をつけないというルールを徹底している。投資資産と生活防衛資金を分けて管理することで、「暴落=生活が立ち行かなくなる」という短絡的な不安を切り離すことができている。不安がゼロになることはないが、不安になったときに立ち返る仕組みを事前に用意しておくことが、暴落局面を乗り切る上での実務的な対策だと考えている。
今後、資産規模がFIRE目標の6,000万円に近づくにつれて、下落局面での評価額の変動幅(絶対額)はさらに大きくなっていく見込みだ。積立フェーズでは「安く買えるタイミング」と割り切れていた下落も、取り崩しフェーズに入れば意味合いが変わってくる。そのあたりの出口戦略はまだ検討段階だが、積立を続けている今のうちから、暴落時にどう振る舞うかという「型」を作っておくことが、将来の自分への備えになると考えている。
よくある質問
Q. 暴落時に積立額を減らしたことはある?
A. この3年間、積立額を減らしたことは一度もない。むしろ暴落局面は「同じ金額でより多く買えるタイミング」と捉えるようにしている。ただし生活防衛資金を削ってまで買い増すことはしていない。
Q. 経済ニュースはどのくらいチェックしている?
A. 見出しレベルでは毎日目を通すが、証券口座のアプリを開いて評価額を確認するのは月に1回程度に絞っている。ニュースを知ることと、評価額を頻繁に確認することは分けて考えるようにしている。
Q. 地方在住だと投資判断で不利になることはある?
A. 対面相談や証券会社の窓口に気軽に行けない点は不便に感じることがある。ただしインデックス積立中心の運用であれば、そもそも頻繁な相談自体が不要になるため、地方在住であることが不利に働く場面は実感としてほとんどない。