「地方に移住したら仕事の選択肢が減る」と思っていたが、複業に関して言えば実はむしろ逆だった。 通勤がなくなった分の時間がそのまま複業に回せるし、オンラインで完結する仕事であれば、依頼主にとって自分がどこに住んでいるかはほとんど関係がない。 今回は、金沢に移住して3年、複業を始めて1年が経った今の実額を、月4.2万円という数字とともに公開する。 時間配分・収入源の内訳・地方移住者ならではの複業のやりやすさとやりにくさまで、包み隠さず書いておく。

複業ゼロから複業歴1年になるまで

移住した当初は、複業をやる余力もモチベーションもなかった。新しい環境に慣れることと、フルリモートの本業をきちんと回すことだけで手一杯だったからだ。 複業を意識するようになったきっかけは、以前休職期間を経験したことにある。 給与収入が一つの会社・一つの業務に依存しきっている状態は、体調を崩したときに一気に脆くなるということを、身をもって痛感した。 休職がなければ、収入の複線化についてここまで本気で考えることはなかったかもしれない。

そこから複業を始めるまでに、特別な準備期間があったわけではない。 最初にやったのは、これまでの職務経歴を棚卸しして、本業で培ったスキルのうちどこが切り出せそうかを整理することだった。 キャリア設計そのものについては別記事で詳しく書いているが、複業も突き詰めればキャリア設計の一部だと捉えている。 棚卸しをしてから最初の案件が決まるまでは3ヶ月ほどかかったが、そこから1年が経った今は、月4.2万円という金額が安定して積み上がるところまで来た。

今やっている複業は3種類

  • 企業のスポット業務委託(本業と同じIT業界でのスキルを活かした短期プロジェクト参画)
  • このブログの広告収入・アフィリエイト(まだ準備段階に近い金額)
  • ポイ活・アンケートモニター(隙間時間の積み重ね)

企業のスポット業務委託は、本業と同じIT業界の中で、単発〜数ヶ月単位のプロジェクトに部分的に参画する形が中心だ。 本業の就業規則で複業が認められている範囲内で、業務内容が競合しない案件だけを選んで受けている。 ブログの広告収入・アフィリエイトは、このブログの直近PVがまだ117PV程度という規模もあり、正直なところ収益としては小さい。 ただ、金額の大小に関わらず、ブログ運営そのものが複業の一つとして育っていくプロセスを記録しておく意味は大きいと考えている。 ポイ活・アンケートモニターは、隙間時間にスマホでできる作業で、大きな金額にはならないが、複業を「始めるハードルの低さ」を体感するには良い入り口だった。

月4.2万円の内訳

3種類の複業を合計すると、月あたりの収入は4.2万円になる。この金額は直近半年間の平均値で、月によって多少の上下はあるが、大きくは変わっていない。 内訳を見ると、企業のスポット業務委託が2.5万円と最も大きく、全体の6割弱を占める。次いでポイ活・アンケートモニターが1.4万円、ブログの広告収入・アフィリエイトが0.3万円という順になっている。

複業収入の内訳(月額・合計4.2万円)

企業のスポット業務委託2.5万円
ポイ活・アンケートモニター1.4万円
ブログ広告・アフィリエイト0.3万円

月4.2万円という金額は、正直なところ本業の給与と比べれば誤差のような水準だ。ただ、この4.2万円があるかないかで、年間にすると50万円強の差になる。 これは、地方移住でかかった引っ越し費用の総額をほぼ1年でまかなえる金額でもあり、数字として見えると複業を続けるモチベーションになっている。

複業の金額そのものは大きくなくても、「本業以外にもう一つ収入源がある」という状態は、想像以上に精神的な安心感につながる。休職を経験してから、この安心感の価値を強く意識するようになった。

複業にかけている時間は週4時間

複業に充てている時間は、平均すると週4時間程度だ。平日の夜に1時間程度、週末にまとめて1〜2時間という配分が多い。 フルリモートの本業自体が裁量労働に近い働き方のため、通勤時間がゼロになった分をそのまま複業や家族との時間に再配分できているのが大きい。 東京にいた頃は往復2時間近くを通勤に費やしていたが、その時間がまるごと自由に使えるようになったことが、複業を始める余力を生んだ最大の要因だと感じている。

週4時間という時間配分は、本業のパフォーマンスと家族との時間を犠牲にしない範囲で、意図的に上限を決めている数字でもある。 複業の案件を増やせば収入はもっと伸ばせるだろうが、本業や子育ての時間を削ってまで複業を優先する判断はしていない。 あくまで生活の主軸は本業とフルリモートの裁量にあり、複業はその余白の中でできる範囲にとどめるというルールを自分の中で決めている。

地方移住者・フルリモートだからこその複業のやりやすさとやりにくさ

地方移住者・フルリモートワーカーという立場が複業にどう影響するかは、実際にやってみて初めて分かったことが多い。 まずやりやすさで言うと、オンライン完結の業務委託案件が増えている今、依頼主にとって自分がどこに住んでいるかはほとんど問題にならない。 証券口座選びの記事でも書いたが、地方移住後は「手続きがオンラインで完結するかどうか」を判断軸にする場面が増えた。複業探しでも同じ基準が当てはまり、対面前提の案件は最初から選択肢から外している。

一方でやりにくさもある。地方在住だと、複業に関する情報交換やネットワーキングの機会が都市部と比べて圧倒的に少ない。 東京にいた頃は同業種の知人と偶発的な雑談から案件につながることがあったが、金沢に移住してからはそうした偶然の接点がほぼなくなった。 この点は意図的にオンラインのコミュニティやSNSでの発信で補っているが、都市部にいた頃と全く同じやり方は通用しないというのが正直な実感だ。

地方移住者がお金の相談をどこにするかについては別記事でFP相談を使わなかった理由をまとめているが、複業についても同様で、地方特有の相談窓口や情報源が乏しい分、自分で情報を取りに行く姿勢がより重要になると感じている。

複業収入はどう扱っているか

月4.2万円の複業収入は、生活費には一切組み込んでいない。世帯の月間生活費30万円は本業収入の範囲内でまかなえており、複業収入は全額をインデックス投資の追加積立に回している。 具体的には、楽天証券のつみたて投資枠でS&P500・NASDAQ100連動のインデックスファンドを買い増す形に充てており、通常の積立とは別枠で管理している。

生活費に組み込んでしまうと、複業を辞めた瞬間に生活水準が下がるという構造になり、複業へのプレッシャーが強くなりすぎると考えたためだ。 あくまで複業収入はFIRE到達を早めるための上乗せという位置づけに徹し、生活の基盤は本業の給与だけで完結させる。この線引きを崩さないことが、複業を無理なく続けられている理由の一つだと感じている。

よくある質問

Q. 地方移住者でも複業はやりやすい?

A. フルリモートの本業がある前提であれば、地方移住はむしろ複業のハードルを下げると感じている。通勤時間がゼロになった分の可処分時間を複業に充てられるし、業務委託の打ち合わせもオンライン完結が前提の相手が多いため、地方在住であることが不利に働く場面は今のところ少ない。

Q. 複業を始めるのに何か特別な準備は必要だった?

A. 特別な資格や大きな初期投資は不要だった。まず職務経歴の棚卸しをして、本業で培ったスキルをそのまま切り出せる形に整理したことが最初の一歩になった。企業のスポット業務委託を受けるまでの準備は、実質的にはこの棚卸し作業だけだった。

Q. 複業収入は生活費に組み込んでいる?

A. 組み込んでいない。月4.2万円の複業収入は生活費とは切り離し、全額をインデックス投資の追加積立に回している。本業収入だけで月間生活費30万円をまかなえている状態を維持し、複業収入はあくまでFIRE到達を早めるための上乗せという位置づけにしている。