金沢に移住してから3年、冬を3回経験する中で「除雪費って結局いくらかかるのか」という質問を何度か受けてきた。移住時にかかった雪国初期装備費7万円(スタッドレスタイヤ・融雪グッズ・断熱グッズ)については、引っ越し費用の内訳をまとめた記事で公開済みだが、今回はその後3年間の実測値をもとに、除雪・雪国対策にかかる「年間のランニングコスト」を項目別に公開する。初期費用とランニングコストは性質の異なる支出であり、混同すると移住後の家計管理を見誤りやすいというのが、3年間住んでみての実感だ。
除雪費の「初期費用」と「年間ランニングコスト」は分けて考える
移住系の情報でよく語られるのは、スタッドレスタイヤや融雪グッズといった「移住時に一度だけ発生する初期費用」だ。自分の場合もこれが合計7万円かかったことは既に公開している。しかし、実際に3年間雪国で暮らしてみると、初期費用とは別に、毎年繰り返し発生する「除雪・雪国対策のランニングコスト」が存在することが分かってきた。暖房費の季節的な増加分、消耗する除雪用品の買い替え、スタッドレスタイヤの定期交換費用、融雪剤による車体へのダメージ対策など、項目は細かいが積み重なると無視できない金額になる。
生活コストの内訳をまとめた記事では、月間生活費30万円のうち車関連費用が月2万円であることや、冬場の生活費が夏場より膨らむ傾向に触れたが、今回はその生活費全体の中に溶け込んでいる「雪国だから発生する部分」だけを、あえて切り出して集計してみた。地方移住、特に雪国への移住を検討している人にとって、この粒度の情報の方が実際の予算組みには役立つはずだと考えている。
金沢の雪国ランニングコスト内訳(年間実額・グラフで公開)
3年間の家計簿データから、除雪・雪国対策に直接関係する支出だけを抜き出して集計すると、年間合計は67,500円だった。内訳は以下の通り。
- 暖房費(灯油・電気)の冬季増加分:36,000円/年(12月〜2月、月12,000円ほどの増加分を集計)
- スタッドレスタイヤの交換費用(4年に1度・1回5万円を年割り):12,500円/年
- 除雪用品・消耗品(融雪剤・スコップの替刃等):8,000円/年
- 融雪剤による車体腐食対策(下回り洗浄・追加洗車代):6,000円/年
- 防寒着・作業用手袋等の更新費:5,000円/年
全体の半分以上を占めているのは、暖房費の冬季増加分だ。灯油・電気ともに12〜2月の3ヶ月間だけ使用量が増えるため、月々の変動として見えにくいが、年間で切り出すと3.6万円という一定額になる。世帯年収1,650万円の家計規模からすれば大きな金額ではないが、地方移住を検討する際に見落とされがちな「地味に積み重なる支出」の代表例だと感じている。次いで大きいのがスタッドレスタイヤの交換費用で、4年に1度・1回5万円という支出を年割りにすると1.25万円になる。単発の出費として見ると大きく感じるが、こうして年単位に均して家計に織り込んでおくと、実際に交換のタイミングが来ても慌てずに済む。
除雪の自力対応 vs 業者委託、コストで比較する
金沢市内には除雪代行サービスを提供している業者もあり、料金相場を調べると1シーズン契約で3万円〜8万円程度、単発依頼だと1回3,000円〜5,000円程度で請け負っているところが多いようだ。自分の場合、この3年間は一度も業者に依頼せず、すべて自力で除雪してきた。年間67,500円というランニングコストは、いわば「自分の時間と労力を投下する代わりに支払わずに済んでいる金額」とも言える。
仮に業者委託に切り替えた場合、シーズン契約の中間値である5万円前後を追加で支払う必要が出てくる計算になる。一方で、自力対応には毎朝10〜15分程度の作業時間が発生する。この時間をどう評価するかは働き方によって変わってくると考えている。除雪用品はホームセンターのコメリで揃えているが、シーズン前の入荷時期を逃すと融雪剤やスコップが品薄になることもあるため、早めの購入を心がけている。
フルリモートワークだからこそ取れる除雪との付き合い方
自力で除雪を続けられている一番の理由は、フルリモートワークで始業時間の融通が利くことだと感じている。通勤があれば、大雪の朝は「除雪してから電車・車で移動する」という時間的な制約が生まれるが、自分の場合は自宅が職場のため、除雪にかかる10〜15分をそのまま始業前の時間として扱うだけで済む。大雪が予想される日は、前夜のうちに始業時間を30分ほど後ろ倒しにする調整を行っており、この柔軟さが除雪の負担感を大きく下げている。在宅の作業環境そのものへの投資については別記事で費用対効果をまとめているが、除雪との相性という観点でも、リモートワークは地味に効いていると感じている。
これは独自に気づいた点だが、除雪代行サービスの利用者には共働きで通勤が必須の世帯が多いという話を、依頼したことのある近隣の方から聞いたことがある。時間的制約が強い世帯ほど業者委託のニーズが高く、逆に時間の融通が利く働き方であれば、自力対応でランニングコストを抑えられる余地が大きいというのが、3年間の実感を通じた仮説だ。
除雪費を年間1万円圧縮できた2つの工夫
3年間の試行錯誤の中で、実際に効果があったと感じている工夫が2つある。1つ目は、融雪剤や除雪用品をシーズン前にまとめ買いすることだ。冬本番になってから買い足すと、需要が集中して割高な価格でしか手に入らないことがあったため、10〜11月のうちにコメリでまとめて購入するようにしてから、同じ量でも数千円単位で安く抑えられるようになった。
2つ目は、スタッドレスタイヤの保管方法の見直しだ。1年目は屋外に放置していたため劣化が早く、3年での交換を見込んでいたが、2年目からは屋内保管に切り替えたことで、交換サイクルを4年に延ばせる見通しが立った。この2つの工夫を合わせると、年間で1万円ほどのコスト圧縮効果があったと試算している。小さな工夫の積み重ねだが、除雪費のように毎年発生する支出だからこそ、こうした改善の効果が複数年で効いてくると感じている。
除雪費を固定費・変動費どちらで管理するか
固定費の見直しについてまとめた記事では、住居費・通信費・保険料を中心に扱ったが、除雪費についてはあえて固定費に組み込まず、季節性のある変動費として管理している。暖房費や消耗品費は月によって変動が大きく、固定費として一律に予算取りすると、逆に管理が難しくなると感じているためだ。年間67,500円という金額を12ヶ月で均すのではなく、冬季の3ヶ月間に集中して発生する支出として、その期間だけ家計簿のカテゴリを分けて記録するようにしている。
車の保有台数についても、除雪費の観点から判断した経緯がある。金沢移住後、車をもう1台増やすかどうかを検討した時期があったが、スタッドレスタイヤ・保険・車検といった費用がそのまま2倍になることを踏まえ、1台のみを保持する判断に落ち着いた。除雪・雪道走行にまつわるコストは、車の台数に比例して増えていく性質があるため、地方移住で車を増やす際は、除雪費まで含めたランニングコストで試算しておくことをおすすめしたい。
これから雪国へ移住する人へのチェックリスト
- 初期費用(スタッドレスタイヤ・融雪グッズ等)とランニングコストは別枠で予算取りする
- 暖房費の冬季増加分は、月々の変動として見落とさず年間ベースで把握しておく
- 物件探しの段階で、除雪対応や駐車場の位置(道路からの雪の跳ね返り等)を確認しておく(物件選びのポイントは別記事でまとめている)
- 除雪用品はシーズン前の10〜11月にまとめ買いしておくと、価格・在庫の両面で有利
- スタッドレスタイヤは屋内保管にすることで、交換サイクルを延ばせる可能性がある
- 車を複数台持つ場合は、除雪関連費用が台数分増えることを織り込んで試算する
こうして項目別に整理してみると、除雪費は「大きな一発の出費」ではなく「小さな支出が積み重なるランニングコスト」であることが分かる。年間67,500円という金額自体は家計を揺るがすほどの規模ではないが、事前に把握しているかどうかで、移住後の資金計画の精度は大きく変わってくると感じている。
よくある質問
Q. 金沢移住後、除雪関連の年間ランニングコストはいくら?
A. 暖房費の増加分・除雪用品・スタッドレスタイヤの交換費用・洗車代などを合計すると、年間で67,500円(月平均5,600円程度)かかっている。
Q. 除雪費を抑えるために効果があった工夫は?
A. 融雪剤や除雪用品をシーズン前にまとめ買いすることと、スタッドレスタイヤの保管方法を見直したことの2点で、年間1万円ほどの圧縮効果があった。
Q. 除雪業者に依頼するのと自分でやるのはどちらが得?
A. 金沢市内の除雪代行サービスは1シーズン3万〜8万円程度が相場で、フルリモートワークで時間の融通が利く自分の場合は、自分で除雪する方がコストを抑えられると判断している。
次回も引き続き、金沢での暮らしにまつわる実際の数字を、季節ごとの変化も含めて記録していきたい。